銅銅技術

SHEET.METAL.TECHNOLOGY

銅板技術について

錺葺きとは

銅版を一枚一枚加工し、様々な文様を組み合わせることによって表現する「線の世界」。葺き方の手法によって、見る角度だけでなく、その時の感情によっても、温かさ、冷たさを感じ、受け取り手によってイメージが変化します。

そして、銅そのものの色の変化もまた魅力の一つです。銅は空気に触れると酸化(錆rust)を始め、表面が月日とともに変色し、目にしている色が、人生の様に序々に移り変わって変色していきます。また、その美しい緑青は、酸化することにより、さらに耐食性が強くなります。

赤橙色→褐色→暗褐色→黒褐色→黒褐色→緑青色、その変色の美しさは、まさに日本の「侘び寂び」のこころです。色々な角度、時間、場所で、見る方の想像力を最大限に生かして、この作品をゆっくり楽しんでもらいたいと考えています。

銅板加工技術【錺葺き(かざりぶき)】への思い

日本における銅版利用の歴史は飛鳥時代に遡ります。極めて貴重な素材だったため、社寺仏閣の一部でしか使われていませんでした。江戸から明治にかけて、銅の加工・生産技術が飛躍的に発展し、比較的安価にはなったものの、まだまだ一般には普及していませんでした。

大正12年に関東大震災が発生。震災後、防火・耐久に優れ、安価な銅板が脚光を浴びるようになり、その加工しやすい特性が注目され、職人はこぞって技術の腕を競い、技を磨きあいました。銅版の錺葺きの技術は、この頃にピークを迎えましたが、第二次大戦の軍需利用のため銅の使用が制限、戦後は不足によって、錺葺きは衰退の一途をたどりました。

この技術を受け継ぐ銅職人が少なくなっている今、新たな形で錺葺きの魅力を表現することにより、この技術を後世に残し、次世代に伝えていきたいと考えています。